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19/9/6 サイレンは鳴らさずにパトランプのみで走行しているパトカーに道を譲る必要はあるの?
街中や高速道路で、サイレンは鳴らさずパトランプのみを点灯させて走行しているパトカーをたびたび見かけます。それらの車両は、いったいなにをしているのでしょうか。
近くを走行していると、どうしても気になってしまうパトカーの存在
クルマを運転中、パトライトを点灯させながらサイレンを鳴らすパトカーが近付いてくると、緊急車両は優先となるため、安全な場所に停車して進路を譲ることが道路交通法で定められています。
では、パトライトは点灯しているもののサイレンは鳴らしていないパトカーが接近してきた場合は、どのように行動すればいいのでしょうか。
警視庁本部 交通相談窓口の担当者は次のように説明します。
「基本的には、パトランプとサイレンの両方が使用されている場合のみ緊急走行とみなされます。そのため、サイレンを鳴らすことなくパトランプのみのを点灯して走行するパトカーが接近してきたとしても、進路を譲る必要はありません。
パトランプのみを点灯させて走行しているパトカーは、注意喚起を目的にしていることがほとんどです。
パトカーがパトランプで存在をアピールしながら路上を走行することで、無謀な運転やひったくりなどの抑制につながっています」
道路交通法第十四条でも、『緊急の用務のため運転するときは、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により設けられるサイレンを鳴らし、かつ、赤色の警光灯をつけなければならない』と規定されているので、いくらパトカーといえどもパトランプの点灯のみでは、緊急車両として扱う必要はなさそうです。
それでは、パトランプの点灯のみで走行しているパトカーが徐行しながら赤信号を渡るなど、一般的な交通ルールを守らなかった場合は、違反なのでしょうか。
「犯人を無駄に刺激しないためなど、事件や通報の内容によってパトランプの点灯のみでサイレンは鳴らさずに現場に向かうパトカーもあります。
そういった車両を見かけてその真意が気になった場合は、そのパトカーを管轄している警察署は必ず事情を把握しているので、車両に記載された管轄の警察署に問い合わせてみてください。」(警視庁本部 交通相談窓口)
※ ※ ※
パトランプの点灯のみで走行するパトカーは、基本的には一般車両と同じ扱いなので、その存在を気にする必要はないのですが、場合によっては緊急車両にもなり得るというなんとも曖昧な立ち位置となります。
これは犯罪を防止・解決することが役割である警察のモビリティという特性上、致し方ないことなのかもしれません。
また、道路交通法第十四条には、『ただし、警察用自動車が法第二十二条の規定に違反する車両又は路面電車(速度超過車両)を取り締まる場合において、特に必要があると認めるときは、サイレンを鳴らすことを要しない』ともあり、スピード違反の取り締まり時の多くは、パトランプの点灯のみで違反車両の速度計測がおこなわれるのはこのためです。
そのため、日頃の運転でパトカーをとくに意識する必要はありませんが、どんな状況であってもパトカーは緊急車両になり得るということを心に留めておくと、無駄なストレスを感じることはないかもしれません。
19/9/5 電車横倒し、折り重なる客 京急脱線、直前にトラックは
午前11時半過ぎ、住宅に囲まれた京急本線の神奈川新町駅(横浜市神奈川区)の近く。大型トラックが踏切にさしかかった。線路沿いの細い道から右折して入ろうとしていた。
踏切の横幅は約11メートル。近所の住民らによると、大きな車体は一度では曲がりきれず、数分間、ハンドルを何度も切り返していた。後退や前進を繰り返す。車体が踏切内に入ったときには、下りた遮断機に前後を挟まれ、身動きできなくなっていた。
「ドン」
空気が震えるほどの激しい音が響いた。
トラックが来たのとは反対側で踏切待ちをしていた横浜市泉区の福祉タクシー運転手、小坂誠さん(30)の視界から、トラックは一瞬で消えた。すぐに黒煙があがるのが見えたという。
事故の直前、電車の先頭車両の座席は乗客でほぼ埋まり、数人が立っていた。会社員や学生のほか、親子連れの姿もあった。
突然、電車の警笛が響いた。「わー」と女性の叫び声があがり、座席でパソコンを開いていた会社員男性(40)は「ナイフでも持った人がいるのか」とパソコンを閉じた。その瞬間「ドーン」という音と衝撃が走った。
脱線した車両は10秒ほど滑るように進み、横倒しに。男性の上には5人ほどが折り重なった。3両目の座席に座っていた会社員の男性(25)は、手すりに頭を打ち付けた。4両目では、衝撃で粉々に割れたガラスを浴びた女性が「ぎゃー」と叫んでいた。
「地震が起きたのかと思った」。専門学校生の男性(19)は、左右に大きく揺れたはずみに座席から滑り落ち、電車が完全に止まるまでの数秒間、その場で動けなかった。
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19/9/5 【あおられないためにも守るべき!?】教習所では教えない暗黙のルール 6選
昨今、クローズアップされている「あおり運転」は、いくら加害者が悪質であっても、結果的に“あおり”に巻き込まれてしまえば、被害者のリスクは計り知れないほど大きい。
悪質なあおり運転に巻き込まれないためにも、“暗黙のルール”は知っておいて損はないドライバーの知恵。
たとえ道路交通法に書かれていない、教習所で教わらないことであっても、周囲の車両にストレスを与えない運転は、自らの安全を守ることにもつながる。
文:ベストカー編集部
写真:Adobe stock、HONDA、編集部
ベストカー 2019年9月10日号
基本的に車線変更は並走車線のクルマの動きを見て、タイミングをはかってやや加速しながらスッと滑り込むように入るのがマナー。
ところが、今いる車線内でギュッと加速して、ブレーキかけて減速しながら車線変更をするドライバーが多い。
これって、目の前に急にブレーキランプ点灯させたクルマが入り込んでくるわけで、後続車のドライバーにしたら気持ちのいいものではない。
というか、そのタイミングでしか車線変更できなかったのであれば、車線変更のタイミングとしてはNGだったということだし、移動車線の前方が空いているのに減速しながら入ってくるようでは、上手な運転とはいえない。
こんな車線変更で前に入ってこられると、心の広い穏やかなドライバーでも「鬱陶しい奴!!」と思われる可能性があるので注意したい。
【2】やや強引なタイミングで車線変更した場合、速やかに加速して後続車に配慮すべき
どうしてもこのタイミングで隣の車線に移動しなければ……というケースもあるにはある。
せめてそのような場合は、車線変更後、スッと加速して後続車の流れを乱さないようにすることだ。
少し強引なタイミングで車線変更した前走車がメリハリのない走り方で、さらに前を行くクルマとの車間が異常に空いたりすると、後続車は不快な気持ちになるはずだ。
【3】追越車線で前走車が「譲る」感じで走行車線に移動した場合、速やかに加速をして追い越しを完了させる
高速道路で追い越し車線を走っている時、前走車がスッと走行車線に移動したなら、そのクルマをスッと追い越して、充分な車間距離を確認した上でサッと走行車線に戻るのがスマートだ。
もちろん、制限速度を守って、という大前提をお忘れなく。
しかし、これとて「暗黙のルール」なのだから、必ずしもそのようにする必要はなく、その時のシチュエーション次第。
自車が前走車に接近していく速度差、前走車がスッと車線変更をしたタイミングなど、「あっ、これって譲ってくれたな」と感じる場面では、素早く追い越しを完了させ、走行車線に戻ることでお互いが気持ちいい、という話。
【4】合流車線では手前で合流せず、最先端部分まで進んで順繰りに合流する
気のいい人ほど手前で合流してしまうケースも。開けた窓から顔を出して、軽くお辞儀などしながら合流するのを見かけることもある。
これはこれで『人と人との関わり』の部分では気持ちのいいものなのだが、渋滞の緩和を考えると(手前での合流は)あまり良いことではない。
クルマが進行できるスペースがまだあるのに、手前で合流しようとすると、無駄なスペースが生じることとなり、そのぶん後方にクルマの列が伸びることになる。
つまり、渋滞を助長してしまうのだ。
合流車線では、なるべく先のほうまで行って、自然に合流するポイントで一台ずつ交互に合流していくのが交通の流れを考えれば正解なのだ。
【5】2車線以上の道路で隣を走る車と前後差なく並走することは避けるべき
一般道でも高速道路でも同じことが言える。
隣のクルマと前後差なく並走をしていたら、万が一の突発的な事態が発生した時に逃げ場がない。常に自分の安全は自分で守るように周囲に目を懲らしてほしいものだ。
対向車がはみ出してきたような時にとっさに左に逃げたい……のに、隣にクルマがいたら逃げ場がない。
また、後続車に対するマナーとしても並走は避けるべきだ。前をふさがれたような気持ちになり、後続車のドライバーはいい気持ちにはならない。
少しずれて互い違いになるだけでも、後続車にしてみればずいぶんと気持ちは違う。
【6】緊急時に路肩へ車を止める際、タイヤは左に切った状態で駐車するべし
これは万が一、他車に衝突された場合のリスクを下げるためのの考え方である。
特に高速道路での車両トラブルなどでやむを得ず路側帯に車両を停止させるような状況。
この時、タイヤを左側に切った状態で停止させることで、ブレーキ処置が甘く転動してしまったり、後続車が突っ込んできた時にも本線上に押し出されることを防げる。一般道で路肩に停止させる場合でも同様だ。
高速道路でパトカーが違反車両を停止させたり、事故処理などで路側帯に停車させる際、前輪を左に切った状態で止めているシーンを見ることがある。念には念を入れた安全対策なのだ。
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19/9/5 技術的に無理? スポーツカーには不要? なぜアイサイトはMT車に付かないのか
高い安全性を誇るスバルのアイサイト。ステレオカメラによるシステムで、万が一の事故を高い確率で防ぐことができるシステムだ。
(画像ギャラリー)MTでも被害軽減ブレーキを設定する国産車
スバル自体もその安全性の高さはセールスポイントとしての強みでもあり、従来からの0次安全と呼ばれる見切りのよさなどとプラスして「安全なクルマ作り」を進めている。
しかし一点気になるのが、3ペダルMTへのアイサイトの設定がないということ。たしかにスポーツ走行には不要の装備かもしれないが、スバルの技術なら装着ができないということはないようにも思える。
WRX S4にはあって、WRX STIにはないアイサイト。いったいなぜこのようなことが起こっているのでしょうか?
文:鈴木直也/写真:SUBARU
いまや新車の7割以上で標準装備となり、2020年からはニューモデルへの装着が義務付けられる予定の自動ブレーキ(正確には衝突被害軽減ブレーキ「AEBS」)。
もはや、付いているのは常識で、その性能の優劣が気になる段階にきたといっても過言ではない。
ところが、この自動ブレーキブームから疎外されているのがスバルのMT車だ。これは「ぶつからないクルマ」で自動ブレーキ普及をリードしたメーカーとして、いささか寂しい現状と言わざるを得ない。
スバルが業界の先陣を切って自動ブレーキを市販化するにあたり、とりあえずAT仕様を優先した事情はわかる。
自動ブレーキが衝突の危険を感知すると、衝突回避のため完全停止まで強いブレーキを維持するが、そういう場合、MTはドライバーがクラッチを切るなりシフトをニュートラルに入れないと、エンストの可能性がある。
まず、これがひとつのリスクとして懸念される。
また、せっかくカメラやレーダーなどのセンサーを付けるなら、それを利用してACC(アダプティブ・クルース・コントロール)やLKS(レーン・キープ・アシスト)も欲しいところだが、これまたMTとは相性が悪い。
いまや、ACCは全車速対応で渋滞追従するのが当たり前で、これは初期のアイサイトではライバルに対する大きな訴求ポイントだった。
ところが、ドライバーが自分でギアポジションを選ぶMTでは、そもそも全車速対応ACCは実現困難。ラクチンに走りたいならATを選ぶわけで、そもそもMT乗りはACCを必要としていない。そういう割り切りもアリだったとはいえる。
自動ブレーキは緊急時になってはじめて「付いてて良かった!」と思える、いわば保険のような機能だが、全車速対応ACCなどは高速の渋滞など日常でも実感できる便利機能。
高価なデバイス(ちょっと前まで、カメラやミリ波レーダーは非常にコストの高い部品だった)を必要とする割には、AT仕様と違って日常性能で付加価値がつけにくい……。
これがアイサイトのMT対応が後回しになっている大きな理由だと思われる。
しかし、この認識はもはや時代の趨勢に遅れをとっていると言わねばならない。
前述のとおり、自動ブレーキの義務化は時間の問題だし、以下に列記するように他の国産ライバルではMTでも自動ブレーキ装着が当たり前だからだ。
たとえば、トヨタの場合、カローラ・スポーツ1.2ターボ6MTでは、トヨタ・セーフティ・センス2が標準。ACCがブレーキ制御のみとなることと、レーンデパーチャが警告のみになる2点をのぞき、ATとの差をつけてない。
マツダでは、マツダ3はレーンキープアシストを含む自動ブレーキが15Sツーリング6MTでも標準装備。全車速ACCがつかないことだけがハンディキャップ。
ホンダはすごく優秀で、フィット15RSの6MTにはホンダセンシング標準装備。MTだから誤発進防止はないが、これは当然だ。
さらに、S660はホンダセンシング対応車ではないけれど、オプションで「シティブレーキアクティブシステム(低速域のみの自動ブレーキ)」が付く。
また、NVANは軽商用車なのに全車種ホンダセンシング標準で、MTはACCとLKSはつかないものの、衝突防止ブレーキはちゃんと備わっている。
お安いクルマながらスズキもMTの自動ブレーキはちゃんとしていて、スイフトはセーフティパッケージを装着すれば、6MTでも自動ブレーキやもちろんACCも使える。ただし、ACCは全車速対応ではなく40km/hが下限だ。
こうしてみると、MTで自動ブレーキ系にまったく対応していないのは、デビューから10年以上を経過したフェアレディZくらいのもの。
せっかく自動ブレーキの普及を牽引したスバルなのに、WRX STIとBRZをこのまま放置していては、安全を謳うメーカーの信頼に傷がつく。
次のモデルチェンジと言わず、ここは可及的速やかに対応すべきポイントと思うがいかがだろう?
鈴木直也
*19/9/5 アンガーマネジメントで感情をコントロール! あおり運転事故を防ぐ
2017年東名高速道路で起きた死亡事故により、重大な社会問題としてクローズアップされた「あおり運転」。最近では、常磐自動車道でのあおり運転及び暴行が話題になりました。あおり運転の原因は、運転中のイライラや焦りなどのストレスだと言われています。そこで注目していただきたいのがアンガーマネジメントです。
今回は「あおり運転(ロードレイジ)撲滅プロジェクト」を展開する一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事 安藤俊介さんにお話を聞きました。
アンガーマネジメントは怒りの感情をコントロールする技術
――まずは、アンガーマネジメントとはどのようなものか、教えてください。
アンガーマネジメントは自分の「怒りの感情」を知り、コントロールする技術です。それによって、よりよい人間関係を構築したり、普段の生活にストレスを感じないようにしたりすることを可能にするというものです。
- 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事 安藤俊介さん
――怒りをなくすわけではないのですか?
怒りをゼロにすることがアンガーマネジメントではありません。
もともと怒りは人間に生まれつき備わった必要な感情です。ですから、怒りをダメなもの、必要のないものとは思わないでください。怒ること自体は構わない。怒る必要があることに対しては怒って、それを相手に上手に伝える。怒る必要のないことには怒らなくて済むようにする。その線引きができるようになりましょうということなのです。
――あまり感情的に怒ることがなく、その代わり「自分が悪いのでは」と自分を責めるというタイプの人もいるかと思うのですが。
それも怒りの感情の1つです。他人に向けて「わーっ!」とぶつけるだけが怒りではないのです。英語ではOverwhelmedというのですが、怒りの感情を自分に向け、攻撃しているわけです。そうして自分の中に怒りをためてしまうのですね。そういうタイプの人は、何かのきっかけでたまった怒りを爆発させてしまうかもしれないし、ため込んだ怒りがストレスとなって心身の不調をきたしてしまうかもしれません。
アンガーマネジメントは「怒りの感情で後悔しないこと」を目指すものです。いろいろなパターンの怒りの感情を上手くコントロールしていくために、反復練習をして身につけていく技術なのです。
アメリカでの社会問題化はスピルバーグ監督のデビュー作がきっかけ
――クルマの運転とアンガーマネジメントは、どのように関わってくるのでしょうか。
まず、クルマの運転時の攻撃的な行為を「ロードレイジ」と呼びます。あおり運転のような危険運転はもちろんですが、運転しているときに他のクルマにイライラして舌打ちをしたり、悪態をついたりする行為も含まれます。
アメリカでロードレイジが初めて社会問題とされたのは1970年代で、きっかけはスティーブン・スピルバーグ監督のデビュー作で、ロードレイジをモチーフとした『激突!』が公開されたことからでした。顔が見えず誰が運転しているのかわからないトラックが、ただただ怒りに満ちて追いかけてくる恐怖感。映画が大ヒットしたことにより、それまで見過ごされていた運転する上での攻撃的な面が意識されるきっかけとなったのです。
そして、同じく1970年代にDVやマイノリティのメンタルヘルスプログラムから発展してアンガーマネジメントが生まれたアメリカでは、クルマの運転と怒りの感情は密接に関係していると考えられるようになりました。実際、司法の現場でもアンガーマネジメントが活かされています。アメリカでは罪を犯すと罰金が課されることや保護観察の実施とともに矯正教育が施されますが、スピード違反などのクルマに関するトラブルの場合は、アンガーマネジメント命令が出るケースがとても多いのです。
――運転の場面では、アンガーマネジメントをどのように活かすとよいのでしょう。
運転をしていて、怒ったり、イライラしたりすることはどうしてもあるでしょう。でも、その怒りに支配された状態で反射的に行動を起こさないようにする。まずは6秒待つことです。
- アンガーマネジメントはゲームなどわかりやすい形でも伝えられる
――なぜ6秒なのですか?
諸説あるのですが、私たちは、怒りの感情が発生したらそのままというわけではなく、次第に理性が介入してきて、それにより理性的に行動できるようになるのです。怒りから理性が介入するまでの時間が多くの人は6秒なのです。ですから、怒りが消えるわけではありませんが、理性的に行動できるまでの時間を6秒と考えています。
その6秒のために、クルマの中に家族の写真を置くとか、深呼吸をする、自分を落ち着かせるための言葉を用意するなどのテクニックをお伝えしています。
東名高速道路での悲劇を二度と起こさないために
――日本アンガーマネジメント協会として「あおり運転(ロードレイジ)撲滅プロジェクト」を始められたきっかけは、東名高速道路での事故がきっかけと伺っています。
はい。2017年6月に東名高速道路の追い越し車線であおり運転による進路妨害を繰り返され、無理やり停車させられたところを後方から来た大型トラックに追突され、運転していた夫婦が死亡するという悲惨な事故が起こりました。それまでも、あおり運転などの危険運転、ロードレイジはあったのです。でも、「たちの悪いやつに絡まれた」、「たまたま運が悪かった」といった感じに見過ごされていました。東名高速の事故から、ロードレイジが非常に危険な行為であると意識が変わってきたのです。実際にその後、あおり運転などの警察の検挙率は増えています。
ただ、警察が検挙できるのはごく一部だけです。クルマを運転する人全てが加害者にも被害者にもならないために、一人ひとりの意識を変えていく必要があります。そこで、2018年1月より「ロードレイジ撲滅プロジェクト」をスタートさせました。
ロードレイジとはどんなものか、ロードレイジを防ぐために気を付けること、怒りの感情と上手に付き合うためのアンガーマネジメントのヒントなどを記載したブックレットやマグネットステッカーの配布により、ロードレイジを防ごうという意識を広めていくための活動です。より多くの人を巻き込んでいきたいという思いからクラウドファンディングも実施しました。春・秋の全国交通安全運動の際には、東名高速道路のSAで啓発グッズの配布などを行い、2018年12月中旬からは改めて「新・あおり運転(ロードレイジ)撲滅プロジェクト」として活動を続けています。
――ドライバーの反応はいかがでしたか?
真っ先にステッカーを手にしてくれたのは、トラックの運転手の方などでした。以前は、あおり運転はトラックなどの商業車から一般のクルマへというケースが多かったのですが、最近は逆にトラックが攻撃されることが多いのです。今、ほとんどのトラックにはドライバーの名前が車体に表示されています。対して一般のクルマはナンバーで個人を特定することが難しい。その個人の匿名性により攻撃の対象が逆転しているようです。
ロードレイジ・あおり運転ゼロを目指して
――活動の広がりの実感はありますか?
愛知県警から働きかけがあり、全国で初めて愛知県警高速隊がアンガーマネジメント研修を導入、2019年2月に研修を行いました。最前線で啓発や指導を行う高速隊の隊員がロードレイジをしてしまう当事者の心の動きを知り、アンガーマネジメントを活かすことで説得力を高める目的のためです。
また、2019年5月には、岡山トヨペット株式会社様との共同プロジェクトとして「STOP ROAD RAGE(ストップロードレイジ)」の啓発PR動画を発表しました。
さらに現在、啓発グッズに使用しているキャラクター「あおり運転とめるくん」とあおり運転を防ぐためのチラシをフリー素材として提供しています。どなたでもダウンロードして使っていただけるようにしていますので、これらを利用いただいている企業様も多くあります。
本当に、ロードレイジ・あおり運転を世の中からなくしてしまいたい。そのために今後も多くの企業様や行政と組んで、全国的に「あおり運転撲滅プロジェクト」を広げていきたいと思っています。研修や講習も要請があれば伺いますのでぜひお声がけください。
クルマの運転中、ちょっとでもイライラすることは誰しも経験があるのではないでしょうか。それが取り返しのつかない大きな事故に繋がる危険性をはらんでいるのです。アンガーマネジメントのコツを取り入れて、自分も他人も守る運転を心がけましょう。
(取材・文:わたなべひろみ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
<取材協力>一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
[ガズー編集部]
*19/9/4 横断歩道「斜め」にしたら事故減少か 横断中の歩行者が見つけやすくなる納得の理屈
横断歩道をわざと「斜め」に引いた交差点が愛知県内で導入されており、事故防止に効果を挙げています。その角度も「12度」ときまっているそうです。
その名も「鋭角横断歩道」
愛知県内で、ちょっと変わった横断歩道が導入されています。車道に対し、わざと「斜め」に引かれているというものです。もちろん、交差点の対角を結ぶスクランブル方式にしているわけではありません。
愛知県警はこれを「鋭角横断歩道」と称し、2012(平成24)度から整備を進め、2018年度末時点において県内32か所の交差点で導入しているそうです。「県下で発生する人身事故の半数近くを交差点関連の事故が占めていることから、歩行者の横断中およびクルマの右左折時における事故を減らすことが、交通事故全体の削減につながると考え開発しました」といいます。県警へさらに詳しく話を聞きました。
――どのような経緯で開発されたのでしょうか?
もともと横断歩道の設置角度に着目したのは、様々な横断歩道を見ていたある職員です。そこから、交通工学の専門家である豊田工業高専の萩野 弘名誉教授とともに、横断歩道の設置条件と事故発生状況との関連性を研究した結果、横断歩道が鋭角に設置されている場合、ドライバーが横断歩道を見渡して横断中の歩行者や自転車を確認するための角度が狭くなり、横断者を発見しやすくなることがわかりました。その角度も、人身事故との関係性を既設の横断歩道において検証し、おおむね12度付近で事故件数が少なくなる傾向があったため、12度に設定しています。
歩行者も気づかないほど しかし事故は半減
――実際、どのような効果があるのでしょうか?
既存の横断歩道から改修した26か所の交差点について、設置前後1年間の事故件数を調査したところ、設置前の合計17件が、8件に減少しました。ただし、対象交差点のほとんどで道路標示の補修や信号機のLED化なども行われており、それらも交通事故が減少した要因と考えられます。
――デメリットはあるのでしょうか?
歩行者の横断距離がやや延び、横断歩道上の滞在時間が長くなることや、通常の歩行者動線からずれるため、横断歩道以外の場所での乱横断が懸念される、といった意見も導入に際して聞かれました。しかしながら、歩行者も違いに気づかないケースが多いくらいの角度ですので、実際にそのようなことはないと考えています。
※ ※ ※
この鋭角横断歩道の整備は、愛知県警独自の取り組みだといいます。通常の横断歩道と比べて施工費はほぼ変わらないとのことですが、整備効果が高いと判断され、かつ道路管理者から改良への協力が得られる交差点でおもに整備しているそうです。