昨今、クローズアップされている「あおり運転」は、いくら加害者が悪質であっても、結果的に“あおり”に巻き込まれてしまえば、被害者のリスクは計り知れないほど大きい。
悪質なあおり運転に巻き込まれないためにも、“暗黙のルール”は知っておいて損はないドライバーの知恵。
たとえ道路交通法に書かれていない、教習所で教わらないことであっても、周囲の車両にストレスを与えない運転は、自らの安全を守ることにもつながる。
文:ベストカー編集部
写真:Adobe stock、HONDA、編集部
ベストカー 2019年9月10日号
基本的に車線変更は並走車線のクルマの動きを見て、タイミングをはかってやや加速しながらスッと滑り込むように入るのがマナー。
ところが、今いる車線内でギュッと加速して、ブレーキかけて減速しながら車線変更をするドライバーが多い。
これって、目の前に急にブレーキランプ点灯させたクルマが入り込んでくるわけで、後続車のドライバーにしたら気持ちのいいものではない。
というか、そのタイミングでしか車線変更できなかったのであれば、車線変更のタイミングとしてはNGだったということだし、移動車線の前方が空いているのに減速しながら入ってくるようでは、上手な運転とはいえない。
こんな車線変更で前に入ってこられると、心の広い穏やかなドライバーでも「鬱陶しい奴!!」と思われる可能性があるので注意したい。
【2】やや強引なタイミングで車線変更した場合、速やかに加速して後続車に配慮すべき
どうしてもこのタイミングで隣の車線に移動しなければ……というケースもあるにはある。
せめてそのような場合は、車線変更後、スッと加速して後続車の流れを乱さないようにすることだ。
少し強引なタイミングで車線変更した前走車がメリハリのない走り方で、さらに前を行くクルマとの車間が異常に空いたりすると、後続車は不快な気持ちになるはずだ。
【3】追越車線で前走車が「譲る」感じで走行車線に移動した場合、速やかに加速をして追い越しを完了させる
高速道路で追い越し車線を走っている時、前走車がスッと走行車線に移動したなら、そのクルマをスッと追い越して、充分な車間距離を確認した上でサッと走行車線に戻るのがスマートだ。
もちろん、制限速度を守って、という大前提をお忘れなく。
しかし、これとて「暗黙のルール」なのだから、必ずしもそのようにする必要はなく、その時のシチュエーション次第。
自車が前走車に接近していく速度差、前走車がスッと車線変更をしたタイミングなど、「あっ、これって譲ってくれたな」と感じる場面では、素早く追い越しを完了させ、走行車線に戻ることでお互いが気持ちいい、という話。
【4】合流車線では手前で合流せず、最先端部分まで進んで順繰りに合流する
気のいい人ほど手前で合流してしまうケースも。開けた窓から顔を出して、軽くお辞儀などしながら合流するのを見かけることもある。
これはこれで『人と人との関わり』の部分では気持ちのいいものなのだが、渋滞の緩和を考えると(手前での合流は)あまり良いことではない。
クルマが進行できるスペースがまだあるのに、手前で合流しようとすると、無駄なスペースが生じることとなり、そのぶん後方にクルマの列が伸びることになる。
つまり、渋滞を助長してしまうのだ。
合流車線では、なるべく先のほうまで行って、自然に合流するポイントで一台ずつ交互に合流していくのが交通の流れを考えれば正解なのだ。
【5】2車線以上の道路で隣を走る車と前後差なく並走することは避けるべき
一般道でも高速道路でも同じことが言える。
隣のクルマと前後差なく並走をしていたら、万が一の突発的な事態が発生した時に逃げ場がない。常に自分の安全は自分で守るように周囲に目を懲らしてほしいものだ。
対向車がはみ出してきたような時にとっさに左に逃げたい……のに、隣にクルマがいたら逃げ場がない。
また、後続車に対するマナーとしても並走は避けるべきだ。前をふさがれたような気持ちになり、後続車のドライバーはいい気持ちにはならない。
少しずれて互い違いになるだけでも、後続車にしてみればずいぶんと気持ちは違う。
【6】緊急時に路肩へ車を止める際、タイヤは左に切った状態で駐車するべし
これは万が一、他車に衝突された場合のリスクを下げるためのの考え方である。
特に高速道路での車両トラブルなどでやむを得ず路側帯に車両を停止させるような状況。
この時、タイヤを左側に切った状態で停止させることで、ブレーキ処置が甘く転動してしまったり、後続車が突っ込んできた時にも本線上に押し出されることを防げる。一般道で路肩に停止させる場合でも同様だ。
高速道路でパトカーが違反車両を停止させたり、事故処理などで路側帯に停車させる際、前輪を左に切った状態で止めているシーンを見ることがある。念には念を入れた安全対策なのだ。
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