19/9/10 知っておきたい! 近づいてくる救急車のよけ方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みなさんは、救急車で病院へ行ったことがありますか? 2018年には日本全体で634万2147件の出動があり、日本に住んでいる人のうち22人に1人が救急隊によって搬送された計算になるのだそうです。

救急車は、急な病気やけがで一刻も早く病院へ行く必要があるときに利用する緊急車両。総務省消防庁の「消防白書」によると、全国の救急車の救急出動件数は増加傾向が続いていて、ここ10年ほどは毎年、前年の出動件数を更新しているといいます。

いずれにせよ、救急車は一刻も早く病院へ向かうことが求められていますよね。

しかしときどき、救急車がスムーズに道を走れていないシーンを見かけませんか? 特にクルマが多い都市部では、救急車にしっかりと道を譲れていないことが多い印象を受けます。そこで、クルマを運転中に救急車が近づいてきたらどうすればいいか、もう一度考えてみましょう。

左に寄せて一時停止が基本中の基本

接近してきた緊急車両に道を譲らなければならないのは当然のことで、もちろん道路交通法でも規定されています。

緊急車両に道を譲る基本は「左に寄せる」こと。左とは路肩側。だから「路肩側に避け、緊急車両に道の中央を通らせる」と覚えておきましょう。

減速だけにするか、完全停止するかはケース・バイ・ケースですが、基本的には完全に停止するべきです。なぜならクルマが動いていると、緊急車両からすれば「そのクルマはどう動くか判断しきれない」となり、追い越すのに時間がかかってしまうから。1秒でも早く救急車を先に行かせるためには止まるのが最善なのです。

また、救急車に道を譲るためにクルマを左に寄せるときは、ルームミラーで後方の様子を確認したあとにハザードランプを点滅させてから停車しましょう。救急車が近づいてきたからといって突然急ブレーキをかけると、後続車に追突される危険があります。

前方から救急車が近づいてきた場合は?

前方から救急車が近づいてきた場合、道の広さによって対応が異なります。

片側が2車線以上あるなど道が広い場合は、基本的に反対車線を走ってくる救急車を見つけても通常通りに走れば大丈夫です。

ただし、反対車線が渋滞しているときは話が別。センターラインを越え、反対車線を使って前へ進む可能性もあるので、その際はきちんと道を譲りましょう。交差点付近も同様です。

一方、道が狭い場合は、救急車は反対車線まではみ出さないと先を急ぐことができないかもしれません。そこで片側1車線の道では、反対車線にまったくクルマがいない場合を除いて救急車がセンターラインを越えてもいいように対向車線でも左側に寄せて停車するのが望ましいですね。

では後方から救急車が近づいてきた場合は?

後方から救急車が走ってきたら、もっともスムーズに救急車を先に行かせることが大切です。市街地で後方から走ってくる救急車を発見したら、必ずクルマを左に寄せて速度を落とし、救急車に進路を譲らなければなりません。

片道一車線の道なら、必ず停車しましょう。どのタイミングで止まるのかは難しいところですが、周囲にクルマが少ない場合は救急車を確認次第止まってしまって大丈夫です。もしもたくさんクルマが走っている場合は、まずは早めにハザードランプを点滅(止まる意思を後続車に伝えます)。そしてゆっくりクルマを左へ寄せて停車しましょう。急ブレーキは絶対にいけません。

もし片側2車線以上の道で救急車が後方から近付いてきた場合は、道の状況により行うべき行動は異なります。道が流れている場合は、左側車線に入って速度を落とせば停止しなくても大丈夫。救急車は右側車線からスムーズに抜いていくことでしょう。

道が渋滞している場合は、緊急車両が車線と車線の中央を走れるように道を開けます。自分自身が左車線を走っている場合は左にクルマを寄せて、右車線を走っていたら右に寄せて停車しましょう。

高速道路であれば、流れていれば右側車線を譲ります。渋滞している場合は、緊急車両は路肩を通るのでその際は道を開ける必要はありません。

交差点付近はどうするべきか?

もっとも悩むのは、交差点付近かもしれません。

大前提となるのは、救急車が後方からくる場合は交差点付近でクルマを止めたり、信号待ちをしたりするのはNGです。なぜなら、信号待ちで多くのクルマが止まっていると、緊急車両がそれらのクルマを追い越して前へ行きにくいからです。

ではどうすればいいか? 交差点に近づく前にクルマを左に寄せて停車させるのです。それが、もっともスムーズに救急車を前へ行かせる方法だからです。後方から救急車が来ている場合は、交差点で信号待ちをしないように心がけましょう。

また、状況によっては信号待ち中に救急車に追い付かれたときに、少し前へ出れば(交差点内に入れば)救急車が進めるように道を開けられるかもしれません。ときには救急車から「少し前へ進んでください」という指示があるかもしれません、そんなときはしっかり安全を確認しながら協力しましょう。

緊急車両を先に行かせるためであれば、交差点内へ入っても違反にはなりません。これは左に寄せる際も同様で、緊急車両に道を譲るためなら「はみだし禁止」の黄色い線をまたいでも違反では ないのです。

また、こちらが青信号で交差する道路を走る救急車に道を譲る際は注意すべき点があります。それは完全に停車すること。徐行よりも停車のほうが、道を譲り意思が明確に緊急車両へ伝わり、スムーズに動けるからです。

もちろん、歩行中だって緊急車両が最優先

緊急車両を避けるにあたって難しいのは、その状況に応じてとるべき行動が変わってくることだと思います。とっさの際にどう振舞うべきか本当に迷ってしまうと思いますが「迷ったら止まる。まわりより早すぎてもいいからとにかく止まる」と覚えておきましょう(停止は義務ではありませんが基本的には止まるのが望ましいです)。ただし、急ブレーキは厳禁です。いつも以上にゆっくり止まってください。

今回は救急車をサンプルとしましたが、もちろんこれはパトカーや消防車にも該当します。さらにいえば、ガス会社のクルマや血液輸送車などライトを点滅させながらサイレンを鳴らして走るすべての緊急車両にいえることです。それらのクルマに道を譲ることはドライバーの義務なのですから。

また、悲しいことですが昨今感じるのは、緊急車両が近づいているのにもかかわらず、気にせず横断歩道を渡る歩行者の多さ。たしかに横断歩道は歩行者優先ですが、緊急車両がいる場合は歩行者よりも緊急車両優先です。だから歩行者も道を譲らなければいけません。

「みんなが立ち止まらないから」ではなく、自分から率先して止まりましょう。また、知り合いが緊急車両の前を横切るようなことがあったら教えてあげましょう。

自動車先進国と言われるアメリカで緊急車両が走る様子に遭遇すると、多くの日本人は驚くかもしれません。周囲のクルマはサッと停車し、まるで静まり返ったかのようにピタッと道路上の動きがなくなり、そこをかなりの勢いで緊急車両が走り抜けていきます。

それに比べると、日本はどうでしょうか。なかなか止まらないクルマや、ときには救急車に進路を譲らないクルマも見かけることもあり、ひとりのドライバーとしてなんだか悲しい気持ちになります。

「救急車には、病院へ急ぐ人が乗っている。その人は、もしかしたら自分にとって大切な人かもしれない」

そんな気持ちを持てば、誰もが救急車にきちんと道を譲る気持ちになれるかもしれませんね。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

 

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