19/8/11 「オービス」手前でなぜ予告? 看板無い場所もあるのに…取り締まりを事前予告する意図とはくるまのニュース

8/11(日) 7:30配信

くるまのニュース

違反取り締まりを事前に予告! なぜ?

 高速道路や一般道のバイパスなどを走っていると気になるのが、速度超過を取り締まる装置の通称「オービス」です。従来のオービスは固定式で、慣れている地元のドライバーは設置場所を把握している人もいます。

これもオービス? 出かける前に全国のオービスをチェック!(8枚)

 一般的に、オービスが設置されている路線には、その手前に設置を予告する看板があります。なぜ、速度違反の取り締まりを事前に知らせているのでしょうか。

 速度違反を自動で取り締まる自動速度違反取締装置、いわゆるオービス(「オービス」はボーイング社の商標)がある場所の近くでは、「自動速度取締機設置区間」などと書かれた看板が設置されています。

 手前の看板は、大体2回ほど登場し、その後オービスが設置されています。事前の看板について、情報サイト「オービスガイド」を運営し、全国のオービスを調査しているパソヤは次のように話します。

「これは場所によりバラバラで、統一した基準はありません。2枚くらいのことが多いですが、4枚から5枚続いてから本体が登場するケースもあります」

 では、速度違反の取り締まりを目的としているオービスにおいて、なぜ事前に設置を予告する看板があるのでしょうか。

 神奈川県内の警察署交通課は、次のように説明しています。

「予告看板がある理由は、速度取締機が無断で撮影した場合に対象者などのプライバシーを侵害しないためと聞いています」

※ ※ ※

 オービスなどで撮影した写真を速度違反の証拠にするには、撮影の「予告」と「犯罪行為の撮影」という条件が必要と、過去の最高裁判例で出ているため、オービスが設置されている手前には看板があるのが定番化しているのです。

 また、オービスの設置理由について、 オービスの使用目的について、神奈川県警は「交通事故抑止のためとドライバーに実勢速度を下げさせること」と説明しており、取り締まりそのものが目的ではないとしています。

最近、見かける「移動式オービス」には予告看板がない?

 2016年からは、持ち運びが可能な「移動式オービス」の運用も始まっています。この移動式の場合はどうなのでしょうか。

 移動式オービスは固定式オービスを代替するものというより、警察が随時実施している有人での速度取り締まりを補助し、効率化する目的で導入されています。

 神奈川県警は、従来の速度取り締まり(いわゆるネズミ捕り)はある程度の人員が必要で、大がかりになるため場所が確保できないケースもあったところ、移動式オービスを使用することで違反車を停めることなく、これまでできなかった箇所でも取り締まりが実施できる、としていました。

 同県警は、おもに生活道路での取り締まりが中心としていましたが、ほかの地域では幹線道路で実施されることもあるようです。

 移動式オービスに関して、事前告知の有無は場所によってさまざまです。前出のパソヤによると、「置きっぱなしで無人運用する中型タイプのものでは事前告知がありますが、三脚で設置する小型タイプは、告知看板などがなく警察官が立っている場合も多いです」と話します。

 なぜ、移動式オービスには、前述したように撮影の「予告」と「犯罪行為の撮影」が当てはまらないのでしょうか。前出の警察署交通課は次のように話します。

「移動式オービスの場合に、予告看板が無いのは設置する手間などを省くためです。過去にさまざまな判例が存在し、それをもとに固定式オービスを設置する場合には手前に予告看板を置いていました。

 しかし、移動式オービスは大抵の場合、警察官が側にいることから予告看板を置かないことが多いのです」

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 また、各警察はツイッターなどでも、移動式オービスによる取り締まりを実施する旨を告知しています。ただし、取り締まり時間は日中か夜か、場所は「〇〇区内」といった程度の情報で、取り締まり実施時間も1時間から2時間というケースがあるようです。

 予告看板の有無に関わらず、速度違反をしないことが安全運転に繋がります。オービスを気にしない運転が一番大切ということを肝に銘じておきましょう。

くるまのニュース編集部