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 那覇市で24日、車の中で倒れていた3歳の女児が、熱中症で亡くなった。車の後部座席のドアには、子どもが中から開けることができない「チャイルドロック」がかかっていた。子どもを守る仕組みが、車内への「閉じ込め」を招いた可能性がある。

 24日午後2時ごろ、那覇市の住宅敷地内に止めていた乗用車の後部座席で、この家に住む女児(3)が横向きに倒れているのを母親が見つけた。女児は正午前から姿が見えなくなっており、見つけた母親が病院へ搬送したが、間もなく死亡が確認された。沖縄県警は25日、死因は熱中症だったと発表した。

 県警によると、車の後部座席はスライド式のドアで、両側ともチャイルドロックがかかり、内側から開けられないようになっていた。車のカギはボタンでドアを開閉する方式で、後部座席から見つかった。運転席と助手席のドアは施錠されていない状態だったという。これらの状況から県警は、女児がカギで後部座席のドアを開けて乗り込み、外に出られなくなったとみている。

 24日の那覇市最高気温は32・2度。日本自動車連盟(JAF)の実験では、外気温が35度の場合、正午からの2時間で車内の温度は50度近くまで上がる。女児が車内に閉じ込められた時間帯も、高温になっていたとみられる。

 ログイン前の続き車のカギは女児が持ち出したとみられ、沖縄県警幹部は「車のカギを子どもの手の届かない場所に置くなど、注意喚起の仕方を考えていく必要がある」と話している。

 子どもが車内に取り残されて出られなくなるケースは相次いでいる。JAFによると、昨年8月の1カ月間で、車内の子どもの救援件数は全国で246件に上った。保護者らが車内にカギを置いて外に出て、子どもが過ってカギをかけた事例が多く、窓ガラスを割って救助したケースも8件あった。

 チャイルドロックが関係した事例はなかったが、夏場は命に関わりかねないこともあり、消費者庁は「車内に子どもを残したまま、車から離れないように」と注意を呼びかけている。(藤原慎一

1970年代から搭載

 チャイルドロックは、自動車の後部座席に乗っている子どもが、走行中に過ってドアを開けることができないようにする装備。複数の自動車メーカーによると、1970年代から搭載されるようになったという。

 車種によって形状は異なるが、開けた後部ドアの内側にあるレバーを操作すると、車の外側からしかドアが開かなくなる仕組みが一般的。運転席にロックをかけるスイッチがある車種もある。メーカーによっては「チャイルドプルーフ」「チャイルドセーフティドアロック」とも言う。

 国土交通省によると、自動車にチャイルドロックを付ける義務や機能に関する決まりはない。だが、日産自動車などの自動車メーカーは「トラックや商用車などを除いて、一般の車には標準装備されている」と説明している。(福島慎吾)